『最高のウエディングケーキの作り方』古内一絵*自分にとっての幸せのかたちとは?

本のはなし

お久しぶりです、たれみみです(^^)/

今日はこちらの本を紹介します。

『最高のウエディングケーキの作り方』古内一絵*

作品情報

著者:古内 一絵

出版社:中央公論新社

発売日:2024年10月25日

本の長さ:336ページ

あらすじ

前作『最高のアフタヌーンティー』から3年。

老舗・桜山ホテルにて、アフタヌーンティーチームの一員として働く涼音は、パティシエの達也と2人でパティスリーを開業し、ともに生きていくことを決めた。そんな2人が婚姻届けを出そうとしたとき、涼音はふとした疑問を抱く。「どうして自分は当たり前のように、『夫の氏』を選ぼうとしたのか?」

結婚とは、幸せとは一体何なのか?を描いた物語。

「夫婦同姓」の義務は世界中で日本だけ

現在の日本では夫婦別姓は認められておらず、結婚する際には夫婦どちらかの氏を選択する必要があります。

夫の氏を選択する夫婦の割合は約95%だそう。多いですね。

私もそのうちの一人です。

当時の私は「大切な人と同じ氏になれた=家族になれて嬉しい!」とのんきに喜んでいました。

そう思った背景にはドラマや漫画等の社会的な刷り込みも少なからずあったと思います。

結婚して氏が変わることは、単に名義変更手続きが煩わしいだけではなく、仕事上の不便や不利益を被る場合もあります。

働く女性が増えている現代において、それらの問題はますます顕在化してきています。

法律で夫婦同姓を義務付けている国は、世界で日本のみだそう。

本書は、その課題に真っ向から向き合っています。

手放しましょう。これまでの苦労。

涼音が夫婦同姓への疑問や違和感を周囲に打ち明けた時、同じ女性でも反応は様々でした。

改姓など一つも気にならないという人、改姓させられるのが女性ばかりなことを不公平だと指摘する人、国際的に見てナンセンスだと呆れる人、それを「守るべきルール」だと認めている人。

女性が何か権利を主張した時に、それを阻むのは男性ばかりとは限りません。

これまで当たり前とされてきたルールに従い、時には我慢や苦労を強いられてきた女性たち自身が、権利を主張する若い女性たちを説き伏せようとすることもあります。

権利を主張して新しい道を勝手に作り、そこを悠々と歩いていく若者を見ていると、自分たちのこれまでの努力を踏みにじられたように感じてしまうのかもしれません。

懸命に努力してきた分、「ずるい」と感じてしまうのかも。

そのような感情が出てくるのはやむを得ない。

だけど、結婚には限らず、自分の”当たり前”とは違う価値観に出会った時には、勇気をもってきちんと向き合っていきたいなと思います。

手放しましょう。これまでの苦労。無駄だったかもしれない努力。

たとえ認めることはできなくても、邪魔をするのはやめましょう。私たちが思いつかなかった新しい世界に挑もうとする、若い人たちの挑戦を。

そして、できる限り、本物の良き先達となるように努めましょう。

現状の一線上で互いを縛り合うのではなく、一足飛びに駆け出していける誰かを「おめでとう」と心から寿げることこそが、本当の祝福なのだ。

「おめでとう」と祝福される選択が幸せとは限らない

涼音は達也と相談し、自分たちなりの答えを見つけます。

その答えも、周囲から簡単に認めてもらえるものではありませんでした。

だけど、結婚も、自分の生き方も、本来は人から認めてもらう必要なんてありません。

自分と達也が導き出した結論が、ある人たちにとっては「自己中心的」で「我が儘」で「無責任」で「世間知らず」に相当するらしいことは、涼音も理解している。

世間の大勢の人たちが結婚に対して口にする「おめでとう」や、「お幸せに」の大合唱の本当の意味はなんだろう。

涼音にはそれが、多くの人たちが自分たちこそが築いてきたと信じている社会へ入るための「洗礼」なのではないかと感じることがある。

彼らが受けてきた洗礼を従順に受けてこそ、幼い若者たちは、ようやく社会的な大人へと認められ、世間に迎えられるのだ。

世間の求める結婚を踏襲しない関係は、いつまで経っても未熟なままで、おめでたくも幸せでもない。

周囲の人からおめでたいと祝福される選択が、幸せとは限らない。

この物語では「結婚×幸せ」がテーマでしたが、出産や就職など、人生において様々な選択を強いられる場面でも共通するメッセージ性を感じました。

私は子どものいない人生を歩んでいるので、その人生の選択について共感できる部分や背中を押された部分が大いにありました。

幸せは「味わうもの」

本作では魅力的な登場人物がたくさん出てきますが、私が好きなのは涼音のおじいちゃんです。

前作同様、良い名言をくれます。

「なあ、涼音。幸せってのはな、なるものじゃなくて、味わうもんじゃねえのか」

幸せになることを目指すのではなく、今目の前にある日常に幸せを感じる。

周囲の人が望む幸せのかたちに沿って生きるのではなく、自分の幸せは自分で作って味わう。

幸せって何だろう?と考えれば考えるほどわからなくなることもあるけれど、今、大切な人と一緒に過ごせるこの毎日が、限りなく幸せなんだなと気づかされました。

それを噛み締めて、過ごしていきたいものです。

甘いだけではない結婚の物語。

ぜひ手に取ってみてください(*^^*)

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