『丸の内魔法少女ミラクリーナ』村田沙耶香*キュートな妄想でストレスを乗り切る☆

本のはなし

こんにちは、たれみみです(^^)/

今日はこちらの本を紹介します。

『丸の内魔法少女ミラクリーナ』村田沙耶香*キュートな妄想でストレスを乗り切る☆

作品情報

著者:村田 沙耶香

出版社:KADOKAWA

発売日:2020年2月29日(文庫版:2023年2月24日)

本の長さ:216ページ(文庫版:240ページ)

あらすじ

『魔法少女ミラクリーナ』・・・36歳のOL・茅ヶ崎リナは、魔法のコンパクトで「魔法少女ミラクリーナ」に変身し、日々の無理難題なできごとを乗り切っている。ある日、モラハラ恋人に悩む親友を救うため、モラハラ恋人にも魔法少女ごっこをさせようとするが――。

『秘密の花園』・・・大学生の千佳は「想い出が欲しい」と初恋の相手の早川君を自分の家に監禁する。彼は上から目線で渋々合意するが、千佳の本当の目的とは――。

『無性教室』・・・「性別」が禁止された学校に通うユートは、性別不明のセナに惹かれている。近い将来「性別」が廃止されると聞き不安に駆られたユートはセナの性別を探ろうとするが――。

『変容』・・・母の介護が一段落し、久々にパートを始めた真琴は、若者から「怒り」の感情がなくなり、当たり前のように「なもむ」という言葉を使うことに衝撃を受け――。

圧倒的にぶっ飛んだ世界観に引きずり込まれる

なんだか、あらすじを書いていて、改めて著者のぶっ飛んだ世界観に圧倒されました。

これまで村田さんの作品は『コンビニ人間』と『殺人出産』を読んだことがあります。

『コンビニ人間』は主人公はかなり変わり者ですが、舞台は現実(現代?)に近い感じ。

『殺人出産』は近未来、もしかしたら日本もこうなっているかもしれない・・・とゾッとさせるような非現実的な世界観でした。

本作は『魔法少女ミラクリーナ』『秘密の花園』⇒『コンビニ人間』、『無性教室』『変容』⇒『殺人出産』の世界観に近い気がします。

どれもぶっ飛んでいるし、受け容れがたく感じる人も、もしかしたらいるかもしれません。

でも、私はこういう、自分では想像もつかない世界に引きずり込まれるのが好きなので、グイグイと読み進めることができました。

ストレスフルな日々をキュートな妄想で処理

なんで子どもの頃って、男女問わず、悪と戦う変身ものが好きなのでしょうか。

私も物心つく前から『セーラームーン』や『キューティーハニー』を見ていた記憶があります。

物心ついてからも、毎週日曜日の朝は必ず『おジャ魔女どれみ』を観てました。

(いまだにカラオケで『おジャ魔女どれみ』の主題歌を誰かが歌うと圧倒的に盛り上がる(笑))

自分も、世界の平和を守るため、カッコよく変身して悪と戦う・・・

子ども時代は、誰もがそんな妄想を繰り広げていたのではないでしょうか。

『魔法少女ミラクリーナ』の主人公は、そんな妄想を続けている36歳の大人です。

ストレスなら毎日感じている。でも私は、それをキュートな妄想で料理して食べる方法を知っているというだけだ。

なんだかすごく、合理的。

物語はどんどん思わぬ方向に向かっていきますが、それもかなり笑える。

そして最後はスカッとして終わるので、読んでいて気持ちいいです。

人間は「怒り」を感じないように変容できる?

『変容』は、若者から「怒り」の感情がなくなりつつあるという世界です。

主人公の働くファミレスでクレーマーの客が来ても、若い店員たちは「ムッ」としたり、「カッ」としたりせず、冷静に対処するんですよ。

それは「怒り」を感じないかららしい。

「そんな世界、ありえないでしょ!」と思いつつ、でも「そんな世界になったらどれほど楽だろうか・・・」とも思います。

私自身「怒り」に振り回されることが多いので。

ですが現代でも、同じ出来事に対して「怒る」人もいれば、「怒らない」人もいる。

そう思うと、人間は「怒り」を感じないように変容することもできるのでは・・・?

なんて思いを馳せております。

当面はそんな幻想を抱かず、アンガーマネジメントに励みたいと思います。

現実離れした世界観に圧倒されたい人におすすめの作品です(^^♪

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