『魂の退社 会社を辞めるということ。』稲垣えみ子*「ない」ことの豊かさに気づき会社を辞めるまでの道のり

本のはなし

こんにちは、たれみみです(^^)/

今日はこちらの本を紹介します。

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『魂の退社 会社を辞めるということ。』稲垣えみ子*「ない」ことの豊かさに気づき会社を辞めるまでの道のり

作品情報

著者:稲垣えみ子

出版社:東洋経済新報社

発売日:2016年6月10日

本の長さ:216ページ

あらすじ

朝日新聞社で新聞記者を勤めてきた著者は、40歳を迎え人生の折り返し地点を意識するようになる。会社の出世戦争に疲れ、定年退職後の生活水準の落差を想像して恐怖心を抱く。人事異動で香川県に「飛ばされた」著者は自炊や節電をしながら「お金がなくても幸せな生き方」を発見する。そして28年間勤めた会社を50歳で退社しようと決意する。

香川の直売所とお遍路さんから学ぶ

「アフロの女性記者」として有名な著者。

当時は都会で大手企業に勤め、羽振りがいい金満生活を送っていました。

常に評価される会社の中で、出世戦争に勝ち続けなければならないことに疲れはじめていたころ。

人事異動によって流された先の香川県の環境に唖然とします。

商店街はシャッター街で、郊外のショッピングセンターには車の大渋滞。

自然とお金を使う機会が格段に減り、「買いたい欲」までもがなくなっていく・・・

自炊をするようになり、直売所で野菜を買いに訪れるようになります。

スーパーでは当たり前に手に入る野菜も、直売所では旬のものしか売っていない。

だから、寒くなって売り場に大根が登場すると「キター!」と心躍る。

直売所は私にとって、お金がなくても楽しめる場所であったばかりか、「ない」ことの方が「ある」ことよりむしろ豊かなんじゃないかという、それまでまったく考えたこともない発想の転換を迫る場所となったのだ。

「ない」中で工夫して暮らしていく楽しみ。

「ない」からこそ「ある」ことのありがたみがわかり、心も豊かになる。

さらに著者が見つけたもう一つの楽しみは「山歩き」。

山を歩きながら、ある日すれ違ったお遍路さんとあいさつを交わした時の「澄みきった笑顔」を見て、衝撃を受けます。

人の幸福とは一体何なのだろう。私たちはいつも、モノやお金や地位を求めて日々あくせくしている。それを手に入れることができれば幸せになれると思うからだ。しかし、お遍路さんたちは何も持たず、身一つで、ただ一人苦労に飛び込んでいく。そこにはおそらく人に言えない、どうしようもない苦しみが横たわっているのだろう。そこに幸福があると思ってそうしているのではなく、止むに止まれずそうしている。

そうして最後に獲得したのが、あの澄みきった笑顔なのだ。いや、あれは獲得したわけではなくて、その人の中に元々あったものなのだろう。

何かを得ることが幸せだと思ってきたけれど、何かを捨てることが本当の幸せへの道なのかもしれない・・・

著者はそこに気づくのです。

「なくてもやっていける」を知る

著者の「お金を使わなくてもハッピーなライフスタイル」をさらに加速させたのは、東日本大震災に伴い発生した、福島県の原発事故。

自分にも何かできないか、と取り組んだのが「節電」だったそう。

目標は電気代の半減。

そしてなんと電子レンジ、扇風機、こたつ、ホットカーペット、電気毛布・・・

あらゆる電化製品を捨てていきます。

極めつけは冷蔵庫。

「いや、さすがに無理でしょ(笑)」と読みながら思いましたが、その日買ったものをその日に使い切る「最小限の生活」をすることで、なんとかなってしまうのです。

そして買い物の量が減り、モノが減り、小さな部屋で事足りるようになっていく・・・・

「あったら便利」は、案外すぐ「なければ不便」に転化します。そしていつの間にか「なければやっていけない」ものがどんどん増えていく。

それまでずっと「あったらいいな」と思うものを際限なく手に入れることが自由だと思ってきました。しかし、そうじゃなかった。いやむしろまったく逆だった。

「なくてもやっていける」ことを知ること、そういう自分を作ることが本当の自由だったんじゃないか。

確かに昔の人たちは、洗濯は手洗い、暖を取るのは湯たんぽだったんですもんね。

我が家は家電の恩恵を受けまくりなので、「ないとやっていけない」と思っていますが、それゆえに選択肢が狭まっていることはあるかもしれない。

「ないとやっていけない」モノが増えれば増えるほど、そのモノを持ち続けるための収入が必要になり、その分だけ働かざるを得ないですもんね。

いつかは会社を卒業していける自分を作り上げる

「お金がなくてもハッピーなライフスタイル」を確立した著者は50歳で会社を辞めました。

辞めてから様々な弊害にぶち当たった様子も綴られています。

でもそれすらアトラクションのように楽しむ著者がなんとも爽快でエネルギーをもらえる。

そして経験則から得た著者の言葉たちは私の心に刺さりました。

仕事とは、突き詰めて言えば、会社に入ることでも、お金をもらうことでもないと思うのです。他人を喜ばせたり、助けたりすること。つまり人のために何かをすること。

結果的に会社を辞めても、辞めなくても、それはどちらでもいい。ただ、「いつかは会社を卒業していける自分を作り上げる」こと。それはすごく大事なんじゃないか。

私は大学卒業後、ずっと会社員を続けています。

そこに何の疑問も持たずに生きてきました。

でもそれって「会社がなければやっていけない」状態ですよね。

今は会社勤めをすることで得られているものが十二分にありますが、いつかはそれらを手放さないといけない時がやってくる。

その時を突然迎えて焦るのではなく、少しずつ準備をしていきたい。

「一人立ち」ならぬ「会社立ち」をしてもやっていける自信を手にしていきたい。

言うは易く行うは難し。

著者のチャレンジ進行形の体験談を知れたのは、大きな学びでした。

今の働き方や生き方に疑問を抱いている人にぜひ読んでほしい一冊です(*^^*)

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