こんにちは、たれみみです(^^)/
今日はこちらの本を紹介します。
『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈*かつてない地元愛と行動力の主人公に元気をもらえる
作品情報
著者:宮島 未奈
出版社:講談社
発売日:2023年3月17日
本の長さ:208ページ
あらすじ
滋賀県の西武大津店が閉店することを知った地元の中学2年生・成瀬あかりは、閉店までの1か月間西武大津店へ通い、ローカル番組の生中継に映り込むことを決める。そうかと思えば200歳まで生きると宣言したり、M-1に出場すると言い出したり・・・そんな成瀬を幼馴染の島崎みゆきは見届けようとする。人の目を気にせずどこまでも自分を貫く成瀬の一挙一動に元気をもらえる青春小説。
滋賀在住の著者による地元愛が止まらない
著者は2021年に「ありがとう西武大津店」で新潮社主催の新人文学賞「女による女のためのR-18文学賞」で大賞、読者賞、友近賞を受賞し、同文学史上初の3冠に輝いています。
本作は「ありがとう西武大津店」を発端にした連作短編小説であり、デビュー作です。
累計10万部を突破している大人気作。
閉店した西武大津店を扱っていると聞き、大津市民の私は出版前から注目していました。
しかし普段新刊は買わず図書館本ばかり読んでいる私にとっては単行本購入はハードルが高く・・・
地元の本屋には特設コーナーが設けられ、図書館では予約殺到しているのを横目に「買おうか、買わまいか・・・」と数か月悩み、ようやく決心して購入。
読んでびっくり。
西武大津店に始まり、ミシガン、ときめき坂、うみのこ、膳所高校、平和堂・・・
大津市民には馴染みのあるものがこれでもかと言うくらい登場します。
地元の方に愛され推されている理由がよくわかる。
著者は静岡県富士市出身。
結婚して現在は滋賀県大津市に在住だそうです。
大津市民である著者の目線から描かれる成瀬たちの日常はとてもリアル。
まるで成瀬が近所にいる子どものような気持ちにもなります。
かつてなく最高の主人公、現る!
本作の魅力は何といっても、成瀬の唯一無二のキャラクターです。
物語の冒頭がこちら。
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」
一学期の最終日である7月31日、下校中に成瀬がまた変なことを言い出した。いつだって成瀬は変だ。14年にわたる成瀬あかり史の大部分を間近で見てきたわたしが言うのだから間違いない。
すでに成瀬の「変わり者」感がすごい。
勉強も運動もできて歌も上手く、何でもこなしてしまう成瀬ですが、そのすごさゆえに他人を寄せ付けにくい面もある。
でもそんなの成瀬はお構いなしで、どこまでもマイペースに生きている。
興味関心が人一倍強く、一度興味を持てば全力で打ち込む。
行動力がとてつもない。
普通ってなんだろうとはさんざん問われてきたテーマだが、目立たないことを普通と呼ぶのなら、成瀬は普通じゃない。
「成瀬さんの目標は?」
「私は200歳まで生きようと思っている」
最初こそ人を寄せ付けない雰囲気はありますが、周りの人々はどんどん成瀬に引き込まれていくんですね。
そして地元愛がすごい。
なんと大津市民憲章を暗記しているんです。
初対面の県外からのお客さんにはミシガンクルーズでおもてなし。
そんな主人公初めて出会いました(笑)
唯一の友人と言える幼馴染の島崎みゆきとの関係は結構ドライ。
でもしっかりと友情を育んでいます。
この2人の関係性が面白く、物語の見どころです。
成瀬あかりの生きざまに学ぶこと
成瀬の行動力には終始びっくりさせられましたが、彼女の生き方に学ぶことは多いと感じました。
「やってみないとわからないことはあるからな」
成瀬はそれで構わないと思っている。たくさん種をまいて、ひとつでも花が咲けばいい。花が咲かなかったとしても、挑戦した経験はすべて肥やしになる。
この一言には胸を撃たれましたね。
破天荒っぷりからは想像できないけど、ちゃんと信念をもって行動している。
宣言するだけじゃなく、すぐに行動に移せるところが本当にすばらしい。
・周りの目を気にしない
・やり始める前からあきらめない
・やると決めたらとことんやる
・地元愛を持つ
なかなかできることじゃないですよね。
しっかりと心に刻みたいなと思います。
地元愛あふれるかなり変わった主人公に笑うこと間違いなしの青春小説。
ぜひお読みください(^^♪
著者・宮島未奈さんの地元愛が止まらない公式サイトはこちら。
新潮社の特設ページはこちら。
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