『対岸の彼女』角田光代*境遇が違う二人の女性の友情物語

本のはなし

こんにちは、たれみみです(^^)/

今日はこちらの本を紹介します。

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『対岸の彼女』角田光代*境遇が違う二人の女性の友情物語

作品情報

著者:角田 光代

出版社:文藝春秋

発売日:2007年10月10日(単行本は2004年11月10日)

本の長さ:334ページ

あらすじ

小さな娘がいる専業主婦の小夜子と独身子なしの女社長の葵。葵の会社で小夜子が働き出したことで出会った二人は、同い年で出身大学も同じであることから意気投合する。互いに協力して仕事をこなし、順調に見えた二人の関係だったが、置かれた境遇の違いから徐々に亀裂が生まれていく。

アラサー女性に共感多し

本作は、第132回直木賞受賞作です。

有名な作品なので、これまでもタイトルを聞いたことはあったのですが、最近あらすじを知って興味が湧きました。

そして帯文を読み、「これは絶対に私が好きなストーリー!」と読む前から確信しました。

おとなになったら、友達をつくるのはとたんにむずかしくなる。働いている女が、子どもを育てている女と仲良くなったり、家事に追われている女が、未だ恋愛をしている女の悩みを聞いたりするのはむずかしい。高校生のころはかんたんだった。いっしょに学校を出て、甘いものを食べて、いつかわからない将来の話をしているだけで満たされた。けれど私は思うのだ。あのころのような、全身で信じられる女友達を必要なのは、大人になった今なのに、と。(角田光代)

帯文からすでに、共感しまくりなのです。

学生時代はテレビドラマや恋愛や、何でもないことで盛り上がっていたはずの女友達。

でもアラサー以降になると、境遇の違いによる会話の合わなさや価値観の違いが顕著になる。

その寂しさを最近肌で感じることが多いので、どストライクのお話でした。

少女時代の友情

物語の構成はちょっと変わっていて、『小夜子(語り手)&葵』パートと『高校時代の葵(語り手)&友達のナナコ』パートが交互に展開していきます。

葵&ナナコのお話は、高校時代の自分を思い返しながら読みました。

「何もかもがのっぺりしてる、毎日、光景、生活、成績、全部のっぺりしてるから、いらいらして、カーストみたいな理不尽な順位をつけて優位に立ったつもりにならなきゃ、みんなやっていられないんじゃないかな」

嫌なことはたくさんある。

でも、仲良しの友達と一緒なら何でもできちゃいそうな気がする。

無敵な気がする。

そんな感じ。

二度と帰ってこない少女時代の青春は、とてもきらきらして見えます。

それと同時に、脆さと儚さもはらんでいる。

だからこそ美しいのかもしれませんね。

対岸の道を一緒に歩む

思えば、私にも『対岸の彼女』がいます。

彼女とは中学からの仲で、同じ高校に進学し、その後彼女は地元の専門学校へ、私は県外の大学へ行き、住む場所は離れてしまいました。

彼女は地元で就職して早くに結婚し、専業主婦で二児の母。

対して私は長く独身を過ごしながら働き、今は子なしの妻。

今も年に数回、私が帰省した際に会っています。

全く異なる人生を歩んでいますが、一番仲の良い友達です。

共通の話題は多くないはずですが、彼女といると心から、楽しい。

それは、お互いに相手の人生を批判したり、口出ししたりしないから。

尊重し合えるから。

境遇や考え方は違うし、道が交わることはないかもしれない。

でも、声が届く位置で、対岸の道を一緒に歩き続けることはできるんだと思います。

そして、今は波が激しく遠い遠い岸にいるように感じる友達たちも、時が経ち、波が静まれば、近くに感じられる日がくるかもしれない。

橋をかけて会いに行ける日がくるかもしれない。

そう信じて、出会いや縁を大切にしていきたい。

そんな風に感じさせてくれる読書体験でした。

おすすめの一作です(^^♪

WOWOWのドラマWで2006年1月にテレビドラマ化もされています。

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コメント

  1. 神崎和幸 より:

    こんにちは。

    自分も『対岸の彼女』読みましたよ。
    いい作品ですよね。
    人との付き合いの難しさがリアルに描かれているのが印象的でした。
    そのうえラストを良かったと思いましたよ。

    • たれみみ たれみみ より:

      コメントくださったことに気付くのが遅くなり申し訳ありません
      対岸の彼女、とてもリアルな人間関係が描かれていて面白いですよね。
      私もラストが好きです(^^)

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