こんばんは。
今日は数日ぶりに寒さが戻り雪もちらついていました。
明日は最低気温は氷点下の模様。
まだまだ春は遠いです(;_;)
今日はこちらの本をご紹介します。
『再婚生活 私のうつ闘病日記』山本文緒*もしも自分がうつになったら?と考える
作品情報
著者:山本 文緒
出版社:角川文庫
発行年:2012年2月1日
山本文緒さんは、2021年10月に58歳という若さでこの世を去っておられます。
本当は、がんで余命宣告を受けてからも最期まで綴られたエッセイ『無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記』の方を読みたかったのですが、Kindle unlimitedで『再婚日記』が読めたので、先に手に取ってみました。
もともと山本さんの作品は、10年近く前に『プラナリア』はじめ『ブルーもしくはブルー』『絶対泣かない』『シュガーレス・ラヴ』『眠れるラプンツェル』を読んでいました。
どれも女性の心情描写がとても緻密で、恋愛における儚さや切なさも含め、痛々しいほど共感できて、スルスル読めた印象がありました。
今回、山本さんのエッセイを読むのは初めて。
『再婚生活』は2003~2006年の山本文緒さんの生活を綴った日記式エッセイ。
山本さんは、2003年にうつ病を患い、数回の入院生活と自宅療養を経験されました。
まえがきでは、“再婚とはどんな生活か”を書こうとしたら、結果的にうつ病闘病記になっていたと語られています。
このエッセイを書き始めた当時は40歳。書き終えたのは46歳。
その間の約5年間、本業である小説の執筆は手をつけることができなかったそうです。
とても長く苦しい闘病生活。
笑いも交えつつですが、日記式というだけあって、当時の様子が本当にありのまま綴られています。
もし自分や身近な人がうつ病になったら…
本書では、山本さん自身がうつ病の辛さと奮闘する姿はもちろんのこと、それを支える王子(ご主人さんの愛称)の様子も、山本さん目線で綴られています。
再婚当初は別居されていたお二人。
王子が大好きな山本さんですが、一緒にいると知らず知らずの間に気疲れしてしまう。
適度な距離感のもと、二人三脚で歩もうとするお二人。
でも山本さんの体調は不安定で、朝元気だと思っても夜には寝込んで動けないことも。
王子がたびたび山本さんのもとに来て、ご飯を作ってくれたり、片付けてくれたり、身の回りのお世話をしてくれます。
王子に頼ってばかりで、病状も一向に良くならないと焦る山本さん。
必死に介抱するも、先が見えない毎日に疲弊していく王子。
お互いにいっぱいいっぱいで、共倒れになる寸前だったのではないでしょうか。
山本さん夫婦に限らず、きっと病気や障害や高齢による介護・介抱が必要な方がいる家庭では、このような状況に置かれている方々がたくさんいらっしゃるのだろうな・・・と思いました。
もし自分がうつ病になって山本さんと同じような状況になったら。
夫が同じような状況になったら・・・。
そんなことをぐるぐると考えます。
自分を許す
今でこそ「うつ病」って誰もがなり得る珍しくない病気だと認知されているし、「無理せずゆっくり休んで治すことが最優先」と周りの理解も得られやすいとは思いますが、2003年当時はもう少し世間の目も違ったかもしれません。
小説の執筆を休むことにも、とても葛藤があったと思います。
心身ともに辛い中で日記を書くことは大変だったでしょうし、鬱々とした日々の綴られた日記を後から読み返すことも苦しかったでしょうし、それを世間に向けて発信することは並々ならぬ覚悟がいったのではないかと想像します。
私も今後年を重ねていけば、早かれ遅かれ老いなり病気なりで、自分の思うように身体が動かせなくなる日がやってくることは、避けて通れないのだと思います。
その時に、私は自分のことをありのまま受け止められるだろうか・・・・
今はまだ想像できませんが、山本さんにとっての王子の存在のように、寄り添ってくれる人が隣にいてくれることは、心の拠り所になるだろうと思います。
大切な人に受け止めてもらえることで、少しずつ自分で自分を許せるようになる気がします。
そして山本さんは、入院中も自宅療養中も常にたくさんの人との交流があって、人を引き寄せる力のある方だったんだなと思いました。
たくさんの人と会うことで気疲れもしてしまうし、療養中には逆効果な場合もあると思いますが、人とのつながりってやっぱり大きな支えなのだなとつくづく感じました。
闘病日記でありながらも、とても心地よく読ませてもらえた一冊でした。
読みやすいので、うつ病に悩まれている方に限らず、おすすめです(^^)
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