こんにちは、たれみみです(^^)/
今日はこちらの本を紹介します。
『子のない夫婦とネコ』群ようこ*おだやかな日々の1ページを切り取った犬猫好きのための短編集
作品情報
著者:群 ようこ
出版社:幻冬舎
発売日:2021年9月16日
本のページ:220ページ
あらすじ
ネコ好きで気弱なツヨシとの結婚と同時に、子ネコ・トン子ちゃんとの生活が始まったモトコ。子供はできなかったが、スケちゃん、カクちゃんも加わって、二人は幸せに年を重ねてきた。けれどトン子ちゃんたちも老いていき……。〈帯文より〉
表題作『子のない夫婦とネコ』をはじめとする「老いとペット」がテーマの連作短編集。
ネコは家族
タイトルを知ってから、ずっと気になっていた本作。
私自身が「子のない夫婦とネコ」という家族構成なので、親近感を持って読みました。
一番共感して楽しめたのはやはり表題作の『子のない夫婦とネコ』です。
ツヨシとモトコは3匹の猫たちと穏やかな日々を送っています。
その生活に十分幸せを感じており、積極的に子どもを望んでいません。
でも、孫の顔が見たいと願う親たちにそれを説明しても理解は得られないだろうと、詳細は話していません。
「いい加減、諦めてくれてもいいのに」
夫婦はトン子ちゃん、スケちゃん、カクちゃんと食卓を囲みながら、孫に執着する親たちが、いつ諦めてくれるのかとため息をついた。
「孫と同じなんだから、この子たちをかわいがってくれたらいいのに」
「孫の代わりにはならないのよ。両親にとってはネコはやっぱりネコなのよ」
モトコが箸を止めてつぶやくと、
「こんなにかわいいのにねえ、困ったもんですねえ」
とツヨシは三匹の顔を交互に眺めた。
ツヨシの「孫と同じなんだから、この子たちをかわいがってくれたらいいのに」という気持ちにはとても共感しました。
私の両親は、うちの猫に会いに来たことはありません。
遠方に住んでいるからという理由もあるかもしれませんが・・・
きっと人間の孫が誕生していたら、喜んで会いに来てくれていたのだろうと思います。
私にとっては子どものような存在の猫ですが、私の親にとっては「孫」という存在にはならないようです。
「こんなにかわいいのに会いたくならないのかな?」と思うのは親バカでしょうか(笑)
子どものいない気の毒な人?
モトコがパート先で悶々とする場面にも共感しました。
パートの先輩のおばさんたちに、子供がいないと話すと、必ず、
「それは寂しいわねぇ」
と気の毒そうな顔をされるので、それが困った。パート先にまで親がいるようなものだった。そのでネコの話をすると、またいろいろといわれそうなので、働いている間は、「子供のいない気の毒な人」として過ごしていた。自分の子供もかわいいかもしれないけれど、家に帰ればあんなにかわいい子たちが、私を待っていてくれているのだと思うと、働いていても元気が出てくるようだった。
高齢出産や不妊治療などが増えている現代は、あからさまに「子ども欲しくないの?」「子ども産むなら早い方がいいよ」などと言ってくる人は減っていると思います。
それでも、「結婚しているのに子どもがいない」という状態は、「なにかしら欠陥がある」とみられがち。
もしかしたら私も「子どものいない気の毒な人」とみられているのかもしれません。
だけど、決して気の毒なんかじゃない。
だって、大切な夫と、かわいくてたまらない猫がいてくれるのだから。
そんなこと言うと「強がっているだけ」「自慢している」と思われそうなので面と向かっては言いませんが・・・
犬猫に癒さえるおだやかな日々
群ようこさんの作品って、日々を切り取ったようなお話が多いと思います。
本作も、大きな起承転結があるわけではなく、おだやかな日々の1ページ。
ペットに癒され、やさしさや愛情、生きる活力をもらえる。
どのお話も微笑ましく、別れの場面は悲しくなる。
ペットを家族として大切に思う人にとっては、共感が多いと思います。
私はツヨシ&モトコ夫婦の生き方を通じて、「子のない夫婦とネコ」という自分の生き方を肯定してもらえたように感じて、うれしくなりました。
犬猫好きの方におすすめの一冊です。
おだやかな気持ちになりたいときにぜひお読みください(^^♪
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