こんにちは、たれみみです(^^)/
今日はこちらの本を紹介します。
『カラフル』森絵都*
作品情報
著者:森 絵都
出版社:理論社(文庫版:文藝春秋)
発売日:1998年7月(文庫版:2007年9月10日)
本の長さ:282ページ(文庫版:259ページ)
あらすじ
「おめでとうございます。抽選が当たりました!」死んだはずの『僕』の魂の前に天使が現れた。生前の罪によって輪廻のサイクルから外された『僕』は、再挑戦のチャンスを得たのだ。魂のホームステイ先は自殺を図った中学3年生『小林真』。彼の身体を借りながら、生前の罪を思い出すことができれば、輪廻のサイクルに戻ることができるらしい。彼の家族やクラスメイト達と過ごす中で、『僕』の見えていた世界は少しずつ色合いを変えていく。
長く愛される理由
本作は森 絵都さんの代表作。
2000年に日本で実写映画化、2010年に劇場アニメ化、2018年にタイで実写映画化、2020年にはAmazonオリジナル映画化され、ラジオドラマや舞台にもなっています。
「高校生の時に読んで救われました」等という声も多いです。
なぜこんなにも人気なのか。
それは、設定の斬新さやストーリー展開のおもしろさはもちろんのこと、中高生が「登場人物に共感しやすい」ということが大きいと思います。
絵は得意だけど、背が低いことがコンプレックスで、自分の殻に閉じこもりがちな『小林真』。
思春期ゆえに家族にも上手く甘えられない。
好きな女の子にも思いを打ち明けられない。
『僕』を通じて見えてくる『小林真』が抱える悩みがとても等身大なんです。
様々な経験を経て、少しずつ見えている世界が広がり、成長していく。
そこに感情移入する中高生が多いのだと思います。
そして大人たちも、「ああ、昔自分もこんな風に苦しい時があったな…」と懐かしく感じる。
たくさんの人の共感を呼ぶからこそ、長く愛されているのではないでしょうか。
カラフルな世界
タイトルにもなっている通り、本作は『色』がテーマになっています。
『小林真』が置かれた環境は、身勝手な両親、意地悪な兄、クラスの中でも浮いてしまっており、自ら命を絶ってしまいたくなるほど、真っ黒な世界でした。
それが『僕』のホームステイによって、少しずつ色合いを帯びていきます。
それは、黒だと思っていたものが白だった、なんて単純なことではなく、たった一色だと思っていたものがよく見るとじつにいろんな色を秘めていた、という感じに近いかもしれない。
私たちは人と接するとき、どうしても「この人は○○な人」と決めつけてしまいがち。
一度決めつけてしまうと、そのイメージはすぐに払拭できない。
でも、自分から見えているその人がすべてじゃなく、人はいろんな側面を持っている。
いろんな色を持っている。
最初は嫌な面ばかりが見えていた人でも、少し違う角度から見てみると、良い面が見えてくる。
どんな人も、良いところも悪いところも両方あって当然。
完璧な人間なんていない。
だから、黒だと決めつけてしまわずに、その人は他にどんな色を持っているのかを、ゆっくりと知っていくことが大切。
自分の置かれた環境も、一時は真っ黒に見えたとしても、見方を変えればカラフルでやさしい世界が広がるかもしれない。
『僕』の見える世界の広がりは、そんな希望を持たせてくれます。
「自分の色」を探す
読みながら、自分が中学生だった頃を振り返りました。
あの頃は、高校生や大学生がとても大人びて見えた。
きらきらとカラフルに見えて、うらやましかった。
いつか私もあんな風に自分の色が持てるのだろうか…と期待しつつ、いつも自分に自信がなくて、周りの色に馴染もうと必死でした。
置いてきぼりになるのがとても怖かったです。
人は自分でも気づかないところで、誰かを救ったり苦しめたりしている。
この世があまりにもカラフルだから、僕らはいつも迷ってる。
どれがほんとの色だかわからなくて。
どれが自分の色だかわからなくて。
他の人がカラフルな色を持っているように、自分にだっていろんな色がある。
でも、それを自分で見つけるのって難しい。
濁った色ばかりが見えて悲しくなることや、諦めたくなることもある。
でも、自分で自分の色を決めつける必要はないし、その色は一生変化し続けていく。
自分がなりたい色を、少しずつ塗り重ねていくことだってできる。
だから、人生を投げ出すことだけは、しないでおこう。
中学生の頃、必死で生きていた自分を褒めてあげたくなりました。
少し心が疲れたな・・・
そんな時に読むと元気が沸いてくる一冊です。
ぜひお読みください(*^^*)
書籍以外の『カラフル』
Amazon Audible版『カラフル』はこちら。
ナレーターの演じ分けがとても上手で、アニメを見ているような気持ちで楽しめます。
タイでの映画化『ホームステイ ボクと僕の100日間』
Amazonでのオリジナル映画化『HOMESTAY(ホームステイ)』 |
コメント